スティーブ・ジョブズの死に際して

スティーブ・ジョブズ

スティーブ・ジョブズ

スティーブ・ジョブズが亡くなったそうです。

Apple信者ではないのですが、iPhoneを熱烈に信仰している者として、その喪失感の大きさは計り知れません。iPhone3Gが日本で発売されるようになってから、Appleの発表には常に耳を澄まし、新たな発表に一喜一憂したものです。これから先はその楽しみが大分削がれてしまいそうで寂しい限りです。

■iPhone狂想曲

考えてみれば、iPhoneが発売されてからの熱狂ぶりは自分でも意外なほど異常でした。Appleの発表はできるだけリアルタイムで聞こうとしていました。アメリカで朝発表ですから、日本では夜中の2時開始です。しかも、映像も音声も一切中継がないので、現地記者が英語でホームページをリアルタイム更新するのを、さらに日本人の有志が同時通訳的にそれをUstreamで配信するのを聞くという、ちょっと前では考えられないような方法をとっていました。そうまでして聞かなくても、朝起きれば発表内容をまとめたHPが大量に配信されるのにも関わらず、世界同時的なその驚きを共有したいと思っていたのでしょう。

何故にそこまで熱狂したのか、自分でも判然としません。初期のiPhoneはその高い理想と裏腹にかなり不完全な商品でした。おそらく、その不完全さがひとつひとつ改善されていく過程を共有していく事が楽しかったのだと思います。

■英雄の死は帝国の瓦解

今ではすっかりスマートフォンのスタンダードになってしまい、iPhoneもどきが沢山世に出回っています。デバイスとして完成に近づいてしまったので、新たな発表に心ときめかせる事も少なくなってきました。
iPod、iPhone、iPadで完全に世界帝国の支配権をとったアップルは、まさにわが世の春を謳歌しており、この最高潮の次期にスティーブ・ジョブズが亡くなったのは、何か暗示めいたものを感じずにはいられません。
後の世から現代を振り返ったとき、2011年、アップルは最大版図を築き繁栄の頂点にあったが、その最高指導者の喪失により瓦解した、というストーリーが頭によぎります。
チンギスハーンのモンゴル帝国しかり、アレクサンドロス大王のマケドニア王国しかり、一気に巨大になり、統率者の死とともにあっと言う間に瓦解する事は歴史にはよく見られるものです。アップル帝国も同じ道をたどる可能性はあるのではないでしょうか。

■マイクロソフトの逆襲はあるのか?

今のアップルを支えるiPhoneをはじめとするiOS軍団も盤石とは言い難いと思います。
スマートフォンとしてのイノベーションはほぼ終わったと思え、次の一手が求められます。が、その一手はいつどこから現れるかは解らず、アップル以外の場所から現れる可能性も高いのです。
3年前のiPhone登場時にはアップルには大きなアドバンテージがありましたが、スマートフォン自体がコモディティ化してしまった今、質よりも量が重視されるようになる事でしょう。

iOSはアップルだけが提供するというのは、今までは強みでしたが、画期的な変化をもたらすことができなくなれば弱みに変わってしまいます。すぐ後ろをひた走るアンドロイドは勿論のこと、元祖帝国マイクロソフトもモバイルに本腰を入れてきています。

実は、これからのモバイル端末の本命はマイクロソフトに再び戻ってくるのでは、という気もしています。マイクロソフトには、パソコン普及期に得たOffice資産があります。Windows95発売から15年経った今でもビジネスユースでOfficeシリーズを無視することはできないのです。ビジネス界にびっしりと張り巡らせたOffice資産が、この後の時代にも活きてくる可能性は相当にあるのではないでしょうか。

■ポストPC時代の覇者は誰か

ジョブズ本人が言うように、タブレット端末はポストPC時代のデバイスです。であれば、モバイルの次にPC自体も変わるか消えるかする事でしょう。
しかし、PCがいきなりタブレットに取って代わられるほどの技術革新は当面考えにくく、PCが新たな時代の要請に合わせて変わっていくと考えるのが自然です。

今の流れとしては、モバイルで生まれた技術をPCにフィードバックする事で変わっていくように見えます。PCがタブレット化する流れとでも言いましょうか。
そのモバイルとPCの統合についても、今はまだアップルに分があります。iOSからのフィードバックでMacOSは変わりつつあります。スワイプでPCの画面を操作する気持ちよさはさすがです。

しかし、6世代続いたWindowsモバイル資産を放棄し、再構築したWindows Phone 7、そして、次期主力OSのWindows8のラインナップを見ると、モバイル、タブレット、PCの三者の統一の意思はマイクロソフトの方が強いように思えます。タブレットもPCも同一のプラットフォームにする事で、これまでマイクロソフトが蓄積してきた資産をそのままタブレットにまで拡張できるとすれば、再びマイクロソフトの時代が来るかもしれません。

グーグルについては、アンドロイドの勢いは強いものの、今のところはモバイルとタブレットの統一しか見えてこず、PC側のChromeOSとの統合については不明で、次に続くかどうかは解らないでしょう。

現状の情報では、マイクロソフトの逆襲があるように思えてなりません。

■ジョブズの抜けた穴は埋まるのか?

スティーブ・ジョブズの死が歴史のターニングポイントになるのかどうかは、誰にも解りません。しかし、熱狂的なiPhone信者の私が、iPhoneに取って代わる端末の出現を心待ちにしている事を考えると、iPhoneの革新性も既に薄くなっている事は間違いないでしょう。
そして、ジョブズなくしても新たな革新を創出できるかどうかに世界は注目しています。それはとても難しい事の様に思えます。ジョブズほどの独善的とも言えるリーダーシップを発揮出来る人はいるのでしょうか。

スティーブ・ジョブズとは、まさにリーダーの中のリーダーだったのだと今にして思います。不世出の英雄の抜けた穴を企業というシステムが穴を埋めることができるのでしょうか。今後の展開が楽しみでもあります。

最後に。スティーブ・ジョブズのご冥福をお祈り致します。

追伸
そういえば、iPhone4Sの購入ですが、当然見送るつもりでしたが、これが「ジョブズの遺作」だ、という意見を聴いてしまった上、ソフトバンク、auともにアップグレードキャンペーンをやる意向という情報に接し、大変揺れております。

 

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