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【障害年金】うつ病の等級はどう決まる?認定基準の全貌と「あなたがすべきこと」を社労士が徹底解説
〈目次〉
- はじめに:心の病気の「重さ」はどう測られるのか?
- 【結論】等級を決める2つのものさし:「日常生活」と「就労」
- ものさし①:「日常生活」を評価する“7つのチェックリスト”
- ものさし②:「日常生活」を“全体として”評価する5段階評価
- 【核心】あなたの等級が決まるメカニズム:「等級の目安」を読み解く
- 等級に影響する最重要ファクター:「就労」の壁
- 【最重要】等級を左右する「診断書」の真実
- まとめと次回予告
はじめに:心の病気の「重さ」はどう測られるのか?
「障害年金をもらえるなら、できるだけ手厚い等級で認定してほしい」
そう願うのは、病気と闘う誰もが抱く、切実な思いでしょう。経済的な安心は、心の安定に直結します。しかし、いざ申請を考えたとき、大きな疑問が頭をよぎります。
「うつ病や双極性障害の『重さ』って、一体どうやって判断されるんだろう?」

例えば、身体の障害であれば、ある程度は客観的な指標を想像しやすいかもしれません。「腕を失ったら何級」「関節がこれ以上曲がらなければ何級」といったように、目に見える形で基準が示されています。内科的な病気でも、「血液検査のこの数値が基準を超えたら」「レントゲン写真でこの所見が見られたら」というように、科学的なデータに基づいた判断がなされます。
では、私たちの抱える精神疾患の場合はどうでしょうか。
心の痛みは、外見からは分かりません。血液検査やMRIで「気分の落ち込み度」を測定することもできません。がんのように「ステージいくつ」といった、世界共通の明確な判定基準があるわけでもありません。
もし今、誰かに「あなたの病気の重さを、客観的な根拠をもって説明してください」と言われたら、あなたはどう答えますか?
「自分では、もう何もできないくらい辛い。だから一番重いはずだ」
「でも、世の中にはもっと大変な人がいるかもしれない。そう思うと、自分は中くらいなのかな…」
このように、自分の感覚に頼るしかなく、答えに窮してしまうのではないでしょうか。知り合いに病状を説明しようとしても、その辛さを裏付ける「根拠」を示すのは、驚くほど難しいことに気づかされます。この「客観的な根拠のなさ」こそが、精神疾患を抱える私たちが社会から理解されにくい、大きな要因の一つなのかもしれません。
しかし、ご安心ください。障害年金の世界には、この目に見えない心の病気の重さを測るための、明確な「ものさし」が存在します。そして、その「ものさし」が何を測ろうとしているのかを正しく理解することこそが、あなたが正当な評価を受けるための、何より重要な第一歩となるのです。
こんにちは。精神疾患の当事者として辛い日々を乗り越え、現在は障害年金を専門とする社会保険労務士として活動している者です。
この記事では、かつての私のように、先の見えない不安の中で「自分の状態が正しく評価されるのだろうか」と悩んでいるあなたのために、精神疾患の障害年金の等級がどのように決まるのか、その全貌を、どこよりも分かりやすく、そして詳しく解説していきます。
この記事を最後まで読めば、審査官が何を見ているのか、そして、あなたが正当な等級を得るために「今すぐ何をすべきか」が、明確に見えてくるはずです。
【結論】等級を決める2つのものさし:「日常生活」と「就労」
さっそく結論からお伝えしましょう。精神疾患の障害年金の等級を決定する上で、審査官が用いる「ものさし」は、大きく分けて2つしかありません。
- 日常生活能力: 日常生活を送る上で、どれくらい他者の助けが必要か?
- 就労能力: 労働によって、どれくらい収入を得ることができるか?
この2つの視点、特に「日常生活にどれだけの支障が出ているか」という点が、精神疾患の等級判定において、他のどんな要素よりも重視される、最重要キーワードとなります。
審査官は、あなたの心の中を直接覗くことはできません。だからこそ、あなたの「辛さ」や「苦しみ」が、日々の生活や仕事といった「具体的な行動」にどのような影響を及ぼしているのか、その「結果」を見て、病状の重さを客観的に判断しようとするのです。
これから、この2つの「ものさし」が、具体的にどのようにあなたの状態を測り、等級という結果に結びついていくのか、そのメカニズムを一つひとつ丁寧に解き明かしていきましょう。
ものさし①:「日常生活」を評価する“7つのチェックリスト”
まず、最も重要となる「日常生活能力」の評価についてです。
「日常生活」と一言で言っても、その範囲は非常に広いですよね。審査では、この曖昧な「日常生活」を、より客観的に評価するために、私たちの生活を7つの具体的な場面に分解して見ていきます。
これは、実際に医師が記入する診断書に記載されている公式なチェックリストです。
【日常生活の7つの場面】
- 適切な食事
- 身辺の清潔保持(入浴、洗面、着替えなど)
- 金銭管理と買い物
- 通院と服薬(自己管理ができるか)
- 他人との意思伝達及び対人関係
- 身辺の安全保持及び危機対応(突発的な出来事への対応など)
- 社会性(社会的な手続き、公共施設の利用など)
審査官は、この7つの項目一つひとつについて、「他者の助けがどれくらい必要か」という観点からあなたの状態を把握し、等級を判断していくのです。
「食事ができる」の本当の意味とは?

この7つの項目を見て、「あれ?ほとんどできている気がするな…」と感じた方もいるかもしれません。しかし、ここでの「できる」という言葉は、私たちが日常的に使う意味とは少し、いや、かなり異なります。
その違いを理解するために、1番目の「適切な食事」を例に、深く掘り下げてみましょう。
障害年金の審査における「適切な食事ができる」とは、単に「お箸が持てるか」「食べ物を口に運べるか」といった物理的な動作のことではありません。それは、「食事」という行為を取り巻く一連のプロセス全体を、一人で、自発的に、そして適切に遂行できるか、ということなのです。
少し想像してみてください。私たちが「食事をする」までには、実に多くのステップが存在します。
- ステップ1:意欲と計画
まず、「お腹が空いたな、何か食べよう」という意欲が湧かなければなりません。そして、「今日は何を食べようか?」と献立を考える必要があります。うつ病の症状が重いと、この最初の「意欲」そのものが失われ、食事への関心が全くなくなってしまうことも少なくありません。 - ステップ2:準備と調達
次に、冷蔵庫の中身を確認し、足りないものがあれば買い物に行く必要があります。お店まで行き、商品を選び、レジで支払いをする。この一連の行動には、想像以上のエネルギーと判断力が必要です。 - ステップ3:調理
家に帰ったら、買ってきた食材を使って調理をします。野菜を洗い、切り、火を使って煮たり焼いたりする。複数の作業を同時に進める「段取り力」も求められます。 - ステップ4:摂食
そしてようやく、実際に食事をとる段階です。しかし、ここでも「適切に」という点が問われます。一日中何も食べなかったり、逆に過食に走ってしまったり、甘いものやインスタント食品ばかりで栄養が極端に偏っていたりする場合、「適切な食事」とは言えません。 - ステップ5:後片付け
最後に、食べ終わった食器を洗い、キッチンを後片付けする。この最後のステップをこなす気力が残っているかも、重要な評価ポイントです。
どうでしょうか。単に「食事」と言っても、これほど多くの複雑な行動が連鎖しているのです。障害年金の審査では、この一連の流れを「一人だけで」「誰の助けも借りずに」「きちんと」できるかどうか、という厳しい視点で見ているのです。
他の6項目、例えば「身辺の清潔保持」であれば、お風呂に入る気力が湧くか、季節に合った服を選べるか。「金銭管理」であれば、計画的にお金を使えるか、公共料金の支払いを忘れずに行えるか、といったように、すべて同じ考え方で評価されます。
あなたのレベルはどれ?「できる」を測る“4段階評価”
そして、この7つの項目それぞれについて、医師はあなたの状態を以下の4段階で評価し、診断書にチェックを入れることになります。
- (問題なく)できる
- 自発的にできるが、時には助言や指導を必要とする
- 自発的かつ適正に行うことはできないが、助言や指導があればできる
- 助言や指導をしてもできない、若しくは行わない
1番の「問題なくできる」と、4番の「全くできない」は、比較的イメージしやすいかと思います。問題は、多くの方が該当するであろう、2番と3番の違いです。
この二つを分けるキーワードは、ズバリ「自発性」です。つまり、「自分からやろうと思えるか、行動に移せるか」が決定的な違いとなります。
先ほどの「食事」の例で、もう一度考えてみましょう。
- レベル2の状態とは?
自分から「お腹が空いたからご飯を作ろう」と思えるし、行動にも移せる。しかし、調理の途中で手順がわからなくなってパニックになったり、何を作っていいか決められずに立ち尽くしてしまったりして、時々、家族に「次はこれをしたら?」と助けてもらう必要がある状態。これがレベル2です。行動のきっかけは「自分」にあります。 - レベル3の状態とは?
そもそも自分から「ご飯を食べよう」という意欲が全く湧かない。何時間もベッドから出られず、食事のことなど考えもしない。しかし、家族が「ご飯できたよ、ここに座って。さあ、一口食べてみよう」と根気強く促し、手取り足取りサポートしてくれれば、なんとか食事をすることができる状態。これがレベル3です。行動のきっかけは「他人」にあります。
この「自発性」という、非常に微妙でありながら決定的な違いを、医師に正しく理解してもらうことが、適正な等級を得る上で極めて重要になるのです。
ものさし②:「日常生活」を“全体として”評価する5段階評価
7つの項目を個別に評価する4段階評価とは別に、もう一つ、あなたの状態を評価する「ものさし」が診断書には存在します。
それは、「日常生活能力の程度」を、より大きな視点から全体として評価する、5段階評価です。
これは、先ほどの7項目のような細かい分類はせず、「日常生活」や「社会生活」という、より広い範囲での活動能力を、他者からの「援助」がどれくらい必要かという観点で評価するものです。
ここで「日常生活」と「社会生活」という、似たような言葉が出てきましたね。
- 日常生活とは、食事や入浴、家の中での活動といった、主に個人的な身の回りの活動を指します。
- 社会生活とは、会社や学校に行く、友人との付き合い、地域活動への参加など、他者や社会と関わる活動を指します。
この5段階評価では、より広い意味での「社会生活」まで含めて、あなたの能力を総合的に判断します。
【日常生活能力の程度(5段階評価)】
- 精神障害を認めるが、社会生活は普通にできる。
- 精神障害を認め、社会生活には、助言や指導を必要とする。
- 精神障害を認め、社会生活に著しい制限を受けており、時に応じて援助を必要とする。
- 精神障害を認め、日常生活に著しい制限を受けており、常時援助を必要とする。
- 精神障害を認め、身の回りのことはほとんどできないため、常時援助を必要とする。
レベル1は援助が不要な状態、レベル5は身の回りのこと全般に常時援助が必要な状態です。この5段階評価は、あなたの状態を大局的に捉えるための、もう一つの重要な指標となります。
【核心】あなたの等級が決まるメカニズム:「等級の目安」を読み解く
さて、ここまで2つの「ものさし」を見てきました。
- 7項目 × 4段階 の個別評価
- 1項目 × 5段階 の総合評価
では、これらの評価が、最終的に「障害等級1級、2級、3級」という結果に、どのように結びついていくのでしょうか。ここが、あなたが最も知りたい部分だと思います。
審査の現場では、これら2つの評価を組み合わせて等級を判断するための、「障害等級の目安」という、いわば「判定表」のようなものが使われています。
ものすごくザックリと、感覚的な目安をお伝えすると、以下のようになります。
- 7項目評価で、「レベル2(時に援助が必要)」が多い → おおむね3級の可能性
- 7項目評価で、「レベル3(援助があればできる)」が多い → おおむね2級の可能性
- 7項目評価で、「レベル4(援助があってもできない)」が多い → おおむね1級の可能性
- 5段階評価で、「レベル2~3」 → おおむね3級の可能性
- 5段階評価で、「レベル3~4」 → おおむね2級の可能性
- 5段階評価で、「レベル5」 → おおむね1級の可能性
より正確に言うと、審査官はこれら2つの評価を機械的に組み合わせて、等級の目安を判断しているのです。
「等級の目安」の表を公開!
少し専門的な話になりますが、実際に審査で使われている「等級の目安」の表をご紹介します。これを見れば、そのメカニズムが一目瞭然となります。
【精神の障害に係る等級判定ガイドライン(障害等級の目安)】
|
7項目の平均 |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
|
1.0~1.4 |
非該当 |
非該当 |
3級 |
3級 |
2級 |
|
1.5~1.9 |
非該当 |
3級 |
3級 |
2級 |
2級 |
|
2.0~2.4 |
3級 |
3級 |
3級 |
2級 |
2級 |
|
2.5~2.9 |
3級 |
3級 |
2級 |
2級 |
1級 |
|
3.0~3.4 |
3級 |
2級 |
2級 |
1級 |
1級 |
|
3.5以上 |
2級 |
2級 |
1級 |
1級 |
1級 |
〈表の見方〉
- まず、「7項目×4段階評価」について、各段階を点数化します。(1:できる=1点、2:時に援助=2点、3:援助あれば=3点、4:できない=4点)
- 7項目の点数を合計し、7で割って平均点を出します。これが表の縦軸になります。
- 次に、「日常生活能力の程度(5段階評価)」の段階数を、そのまま表の横軸とします。
- 縦軸(平均点)と横軸(5段階評価)が交差するマスに書かれているのが、あなたの等級の目安となります。
【具体例】
例えば、あなたの診断書が以下のような評価だったとします。
- 7項目評価の平均点が「3.0」だった。
- 5段階評価が「3」だった。
この場合、表の「3.0~3.4」の行と、「3」の列が交差するマスを見ると、「2級」と書かれています。つまり、あなたの状態は、この判定表上では「障害等級2級に相当する可能性が高い」と判断されるわけです。
目安はあくまで目安。総合的な判断が下される理由
「なるほど、この表で決まるのか!」と、少し安心されたかもしれません。しかし、ここで非常に重要な注意点があります。
それは、この表はあくまで「目安」であり、この表の結果が100%あなたの等級になるわけではない、ということです。
審査では、この「等級の目安」を基本としながらも、診断書に書かれたその他のあらゆる情報を考慮に入れて、最終的な等級が総合的に決定されます。
例えば、判定表では「2級相当」という結果が出ても、診断書の他の部分に、「天気の良い日は散歩に出かけている」「友人と時々会って話をしている」といった、比較的「元気」だと判断されかねない記述があった場合、等級が3級に下がったり、不支給になったりする可能性も出てくるのです。
では、この「等級の目安」以外に、審査官が特に重視する要素とは何でしょうか。それが、冒頭で述べたもう一つの「ものさし」である「就労」の状況なのです。
等級に影響する最重要ファクター:「就労」の壁
思い出してください。障害年金の等級を決める2つのものさしは、「日常生活能力」と「就労能力」でした。ここまで解説してきた「等級の目安」は、主に「日常生活能力」を評価するものです。
そして、この目安で導き出された等級が妥当かどうかを判断するために、審査官はあなたの「就労」の状況を厳しくチェックします。
なぜなら、障害年金の認定基準には、就労能力について以下のような明確な定義があるからです。
- 1級: (日常生活が極めて困難なため、就労は想定されていない)
- 2級: 労働によって収入を得ることができない程度のもの
- 3級: 労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの
この定義を見れば一目瞭然ですね。
もし、判定表で「2級相当」という結果が出ていたとしても、あなたが一般企業でフルタイム勤務をしていたらどうでしょうか。審査官は「労働によって収入を得ることができている。2級の定義には当てはまらない」と判断し、等級を3級や不支給に変更する可能性が極めて高いのです。
これが、「日常生活」の評価が2級レベルでも、働いているというだけで2級が認められにくい、いわゆる「就労の壁」の正体です。
2級を目指すのであれば、最低条件として、
- まず、日常生活能力が「2級相当」であること(必要条件)
- その上で、就労能力も「労働によって収入を得られない」状態であること(十分条件)
この2つの条件を両方クリアする必要がある、と考えるのが現実的です。
「働いている=元気」ではない!正しい伝え方
では、「少しでも働いていたら、もう2級は絶対に無理なのか?」というと、必ずしもそうではありません。大切なのは、その「働き方の中身」です。
例えば、
- 体調が悪く、週に2~3日、1日数時間の短時間勤務しかできない。
- 常に上司や同僚からの特別な配慮(業務量の調整、頻繁な休憩、指示の単純化など)がなければ、仕事を続けることができない。
- 欠勤や早退が多く、安定した勤務が全くできていない。
このような状況は、3級の定義である「労働に制限がある」状態に当てはまります。たとえ働いていたとしても、その実態が「普通の働き方」とはほど遠いことを、診断書や申立書で具体的に示すことができれば、3級に認定される可能性は十分にあります。
一番避けたいのは、「働いている」という事実だけが一人歩きし、「この人は元気で問題なく働けている」と誤解されてしまうことです。
障害者雇用という選択肢が持つ大きな意味
ここで、特に知っておいていただきたいのが「障害者雇用」という働き方です。
もしあなたが障害者雇用枠で働いている場合、一般雇用とは異なり、会社側があなたの障害を理解し、特別な配慮を提供していることが前提となります。そのため、障害者雇用で働いているという事実は、一般雇用の場合よりも、障害の重さを示す有力な材料として考慮される傾向があります。
ガイドラインにも、「障害者雇用制度を利用した就労については、2級の可能性を検討する」と明記されています。
これは、社会復帰を考える上で、非常に大きな意味を持ちます。
例えば、うつ病で退職し、障害年金2級を受給できるようになったとします。その後、体調が少し安定し、「もう一度働きたい」と思ったとき、いきなり一般雇用でフルタイム復帰するのは、再発のリスクも高く、非常にハードルが高いでしょう。
しかし、そこで「障害者雇用」という選択肢を検討するのです。
障害者雇用であれば、無理のないペースで、配慮のある環境で働くことができます。そして、たとえ働き始めたとしても、障害年金2級または3級を受給し続けられる可能性が残ります。
障害者雇用の給与は、一般的に低く抑えられがちですが、そこに障害年金を加えることで、「安定した収入」と「ストレスの少ない労働環境」を両立させ、再発のリスクを抑えながら、着実に社会復帰への道を歩むことができるのです。これは、長期的な視点であなたの人生を立て直すための、非常に賢明な戦略の一つと言えるでしょう。
【最重要】等級を左右する「診断書」の真実
ここまで、等級判定のメカニズムと、日常生活や就労の重要性について解説してきました。そして、これら全ての情報が、たった一つの書類に集約されます。
それが「診断書」です。
あなたの等級は、この診断書に何が書かれているかで、ほぼ全てが決まると言っても過言ではありません。7項目評価も、5段階評価も、就労状況も、すべてはこの診断書に基づいて判断されます。
しかし、ここには大きな落とし穴があります。
医師はあなたの「日常生活」を知らない
考えてみてください。普段の診察時間は、5分か10分程度ではないでしょうか。その短い時間で、あなたは医師に何を話していますか?
「最近、気分が落ち込んでいて…」
「夜、よく眠れなくて…」
「薬を調整してほしいのですが…」
おそらく、症状や薬に関する話が中心で、「家で食事が作れなくて困っています」「お風呂に入るのが週に1回になってしまいました」「お金の管理ができず、支払いを滞納してしまいました」といった、具体的な日常生活の困りごとまで、詳しく話す機会はほとんどないはずです。
つまり、医師は、あなたの日常生活のリアルな実態を、ほとんど知らないのです。
それにもかかわらず、医師は診断書の7項目評価を記入しなければなりません。情報がない中で、医師はどうするでしょうか。患者さんの様子や、わずかな会話から「おそらく、これくらいだろう」と推測して書かざるを得ないのです。
その結果、あなたの本当の状態とはかけ離れた、実態よりも「軽く」見えてしまう診断書が出来上がってしまう危険性が、常に存在します。
「これだけはやって!」納得のいく診断書を書いてもらうための秘策
では、どうすればいいのでしょうか。答えはシンプルです。
「こちらから、医師に正確な情報を提供する」
これしかありません。医師も人間です。そして、科学者でもあります。診断書という公的な書類を作成する上で、「本人の証言」というエビデンス(証拠)は、非常に重要な参考資料となります。
「でも、診察中にそんなに長く話す時間はない…」
その通りです。だからこそ、「書面にして渡す」のです。
A4用紙1枚で構いません。診断書の作成を依頼する際に、あなたの日常生活の状況をまとめたメモを一緒に渡すのです。これは、驚くほど効果があります。私の経験上も、「こういう資料があると、非常に助かる」と言ってくださる医師は、年々増えています。
では、具体的に何を書けばいいのでしょうか。
一番のおすすめは、この記事で解説した「日常生活の7つの項目」に沿って、ご自身の状況を具体的に書き出すことです。
- (1)適切な食事:
- 週に何回、自分で調理できているか。
- 食事の内容は偏っていないか(インスタント食品や菓子パンばかりなど)。
- 家族に食事の準備をしてもらっているか。
- (2)身辺の清潔保持:
- 入浴やシャワーの頻度はどれくらいか。
- 同じ服を何日も着続けていないか。
- 部屋の掃除や片付けができているか。
このように、7項目それぞれについて、「できる/できない」だけでなく、「どれくらいの頻度で」「誰の助けを借りて」「どんな状態か」を、できるだけ具体的に書き出してみましょう。
この「情報提供」という一手間が、あなたの本当の苦しみを医師に伝え、実態に即した、納得のいく診断書を書いてもらうための、最も重要で効果的なアクションなのです。
まとめと次回予告
今回は、精神疾患の障害年金の等級がどのように決まるのか、その全体像と基本的な考え方について、詳しく解説しました。
▼今回の最重要ポイント
- 等級は「日常生活」と「就労」の2つの「ものさし」で決まる。
- 特に「日常生活の7項目」で、どれだけ他者の助けが必要かが重要。
- 「できる/できない」の判断基準は、「自発性」がカギ。
- 等級判定の土台となる「診断書」には、あなたのリアルな生活状況を、こちらから情報提供することが不可欠。
少し難しい話も多かったかもしれませんが、審査の仕組みを知ることで、あなたが今何をすべきかが見えてきたのではないでしょうか。
そして、納得のいく診断書を書いてもらうためには、7つの項目がそれぞれ「何を聞こうとしているのか」を、より深く理解しておく必要があります。
【次回予告】
次回のブログでは、いよいよ「日常生活の7項目」の一つひとつを、徹底的に深掘りして解説していきます。それぞれの項目で、具体的にどのような点が評価されるのか。それを知ることで、あなたは医師に渡す「メモ」を、より的確に、そして効果的に作成できるようになるはずです。
障害年金の申請は、あなた自身の人生を取り戻すための、大切な一歩です。焦らず、一つひとつ、着実に進んでいきましょう。
≪もっと知りたい!!≫
実際の手続きは、初診日の加入年金で窓口が分かれ、予約・持ち物・段取りが必要になります。
次は、名古屋市の入口ナビで「どこに相談し、どう進めるか」を確認してください。
「まずは話を整理したい」という段階でも大丈夫です。状況に合わせて、何から始めるのが最短か一緒に整理します。
電話が苦手でも大丈夫!メール対応可能です。

愛知県(名古屋・春日井等)を拠点に、岐阜・三重を含む地域で障害年金の請求をお手伝いしている社会保険労務士の渡邊智宏です。自身がそううつ病を経験したことから、病気による生きづらさや不安にも自然と目が向きます。その経験を活かし、一人ひとりの事情に耳を傾けながら、障害年金の手続きをサポートしています。初回の出張相談は無料ですので、「よくわからない」「不安がある」という方も、どうぞ気軽にご相談ください。
【障害年金の初診日】カルテがない?大丈夫。うつ病の初診日を証明する全手順を社労士が解説
「障害年金の請求には『初診日』が重要だと分かった。でも、具体的に何をすればいいの?」
前回の記事を読んで、そう思われた方も多いのではないでしょうか。頭では理解できても、体調が優れない中、次の一歩を踏み出すのは本当に大変なことですよね。
こんにちは。精神疾患の当事者でもある、障害年金専門の社会保険労務士、渡邊智宏です。
今回は、「初診日を証明するための具体的なアクション」について、徹底的に解説します。すんなり証明できるケースから、「カルテがない」と言われて絶望しそうなケースまで、あらゆるパターンを網羅しました。
この記事を読めば、あなたが今すぐ何をすべきか、そして万が一壁にぶつかった時にどうすればいいのかが、明確にわかります。一人で抱え込まず、一緒に解決の糸口を探していきましょう。
≪もっと知りたい!!≫
まずは王道!「受診状況等証明書」をもらおう
初診日の病院に見当がついたら、まず試すべき最も確実な方法があります。それが「受診状況等証明書(じゅしんじょうきょうとうしょうめいしょ)」という書類を病院に書いてもらうことです。
「なんだか難しそうな名前…」と身構える必要はありません。これはA4用紙1枚のシンプルな書類で、「いつ、どんな症状で来院しましたか」という内容を証明してもらうものです。所定の書式があり、日本年金機構のホームページでダウンロードできます。
https://www.nenkin.go.jp/shinsei/jukyu/shougai/shindansho/20140421-20.files/0000012239XWI83snsjt.pdf
▼アクションプラン
- 書類を入手する: 日本年金機構のホームページからダウンロードできます。
- 病院へ依頼する: 初診の病院の受付窓口で「障害年金の申請で使うので、受診状況等証明書を書いてください」と伝えればOKです。
- 待つ: 通常1~2週間ほどで作成してもらえます。
この書類が手に入れば、あなたの初診日は確定します。ようやく、障害年金申請の本当のスタートラインに立てたということです。
【注意!】こんな記載があったら要注意
書類の中に「以前、別の病院を受診」「〇〇病院からの紹介」といった記載があった場合、その「以前の病院」や「紹介元の病院」が本当の初診日と判断されます。その際は、そちらの病院で改めて証明書をもらい直す必要があります。
うつ病でよくある「初診日の勘違い」に注意!
精神疾患の初診日には、多くの方が陥る「勘違い」があります。
例えば、
「体調不良でA内科へ→原因がわからずBメンタルクリニックへ→初めて『うつ病』と診断」
この場合、なんとなく診断が出た「Bメンタルクリニック」が初診日だと思いがちですよね。
しかし、障害年金の世界では「A内科」が初診日になります。
なぜなら、初診日の定義は「その病気や症状について、初めて医療機関を受診した日」だからです。「診断名がついた日」ではないのです。
原因不明のめまい、不眠、動悸などで最初に内科などを受診した場合、そこがあなたの初診日になる可能性が高いことを覚えておいてください。
≪もっと知りたい!!≫
絶望しないで!「カルテがありません」と言われた時の3つの逆転手
「初診の病院に問い合わせたら、『カルテはもう破棄しました』と言われた…」
これは、本当によくあるケースです。法律上、カルテの保存義務は最終受診日から5年。それ以上経っていると、破棄されていても仕方ありません。頭が真っ白になりますよね。
でも、諦めるのはまだ早すぎます。ここからが専門家の腕の見せ所。カルテがなくても初診日を証明する、3つの逆転方法をお伝えします。
逆転手①:最強カード「紹介状の控え」を探せ!
もし、初診の病院から次の病院へ移る際に「紹介状」をもらっていたら、大チャンスです。
紹介状には「〇年〇月〇日に初診」といった経緯が書かれていることが多く、これ自体が初診日の強力な証拠になります。初診の病院にカルテがなくても、紹介先の病院にカルテと紹介状の控えが残っているケースは少なくありません。まずは紹介先の病院に問い合わせてみましょう。
逆転手②:合わせ技で勝負!「第三者証明+客観的な証拠」
紹介状もなかった場合、友人や元同僚など「第三者」(家族は不可)に、「この頃、確かに通院していました」という証明書を書いてもらう方法があります。
ただし、これだけでは証拠として弱いため、
- 日付入りの診察券
- お薬手帳
- 医療費の領収書
- 生命保険の告知書
など、通院の事実を示す客観的な証拠をセットで提出する必要があります。ハードルは上がりますが、諦めずに探してみましょう。
(※初診日が20歳前の場合は、第三者証明だけでも認められやすいという特例があります)
逆転手③:最後の奥の手「保険料納付による申し立て」
あらゆる証拠が見つからなくても、まだ道はあります。これはかなり専門的な方法ですが、
「初診日があったはずの期間、年金保険料を真面目に納めていたのだから、初診日不明という理由だけで不支給にするのはおかしい」
というロジックで申し立てる、いわば「誠実な納付者を救うための最終手段」です。
具体的には、「20歳から、カルテが残っている一番古い病院の受診日まで」といった長期間の保険料納付状況を証明し、その期間ずっと保険料を納めていれば、初診日を認めてもらえる可能性があるという方法です。
ただし、この方法を使うと、たとえ会社員期間が長くても「障害基礎年金」の対象とされてしまう可能性がある、というデメリットもあります。それでも、「全くもらえない」よりは遥かに良い選択と言えるでしょう。
≪もっと知りたい!!≫
初診日が古くなりそうなら:社会的治ゆも検討
【まとめ】一人で抱え込まないで。専門家を頼るのも賢い選択です
今回は、初診日を証明する具体的な手続きについて、かなり専門的な内容まで踏み込んで解説しました。
「自分一人でやるのは、難しそうだ…」
「体調が悪いのに、こんなに動けない…」
そう感じた方も多いのではないでしょうか。当然です。そんな時のために、私たち社会保険労務士(社労士)という専門家がいることを、ぜひ心の片隅に置いておいてください。
社労士に依頼すれば、今回お話しした面倒な手続きのほとんどを代行できます。もちろん費用はかかりますが、多くの事務所では年金が受給できた場合に成功報酬を支払う形を取っており、初期費用を抑えられるケースがほとんどです。
大切なのは、「行動を起こすこと」です。
ぐるぐると一人で悩み続けている間に、5年のカルテ保存期間が過ぎてしまうかもしれません。
- まずは、一番最初に行った病院を思い出してみる。
- もし難しそうなら、専門家に相談してみる。(最初は家族や友人など)
どれも、あなたの未来を切り拓くための、価値ある一歩です。この記事が、あなたの背中を少しでも押すことができたなら、これほど嬉しいことはありません。
≪もっと知りたい!!≫
実際の手続きは、初診日の加入年金で窓口が分かれ、予約・持ち物・段取りが必要になります。
次は、名古屋市の入口ナビで「どこに相談し、どう進めるか」を確認してください。
「まずは話を整理したい」という段階でも大丈夫です。状況に合わせて、何から始めるのが最短か一緒に整理します。
電話が苦手でも大丈夫!メール対応可能です。

愛知県(名古屋・春日井等)を拠点に、岐阜・三重を含む地域で障害年金の請求をお手伝いしている社会保険労務士の渡邊智宏です。自身がそううつ病を経験したことから、病気による生きづらさや不安にも自然と目が向きます。その経験を活かし、一人ひとりの事情に耳を傾けながら、障害年金の手続きをサポートしています。初回の出張相談は無料ですので、「よくわからない」「不安がある」という方も、どうぞ気軽にご相談ください。
うつ病の障害年金|「初診日」を知らないと大損する3つの理由【当事者社労士が解説】
「障害年金を考えているけど、結局なにから始めればいいの?」
「市役所?年金事務所?初診日?…言葉が多すぎて止まった」
ここで一度、頭を整理します。
障害年金の手続きは、最初の一歩さえ間違えなければ、あとは“順番”で進みます。
その最初の一歩が、初診日です。
初診日というのは、単に「初めて病院に行った日」…と思いがちですが、実務ではここに落とし穴があります。
初診日の扱いを間違えると、もらえる年金の種類・金額・そもそも要件を満たすかまで変わってしまうことがあるからです。
このページでは、まず「初診日がなぜ重要か」を3つに絞って解説し、最後に「最初にやること(メモの作り方)」まで整理します。
≪次に読む(入口ナビ)≫
実際の手続きは、初診日の加入年金で窓口が分かれ、予約・持ち物・段取りが必要になります。
次は、入口ナビで「どこに相談し、どう進めるか」を確認してください。
初診日とは?(まず定義だけ)
障害年金でいう初診日は、ざっくり言うと
「その障害の原因となった傷病で、初めて医師の診療を受けた日」
です。
“今通っている病院の初診日”ではなく、一番最初の受診が基準になります。
たとえばこんなケースが起こります。
- 心療内科に通う前に、内科で「不眠・動悸」で受診していた
- 会社の健康診断後に、別の病院に最初に行っていた
- A病院→B病院→C病院と転院していて、どこが起点か曖昧
この“起点”が初診日です。
≪もっと知りたい!!≫
初診日が分からない時の探し方はこちら
初診日を知らないと損する3つの理由
初診日は「ただの日付」ではありません。
障害年金の世界では、この日が“分岐点”になります。
理由1:もらえる年金の種類と金額が変わる
障害年金は、初診日の時点で どの年金に加入していたかで、制度が分かれます。
- 初診日に厚生年金(第2号) → 障害厚生年金の対象になり得る
- 初診日に国民年金(第1号) → 障害基礎年金の対象が中心
- 初診日に第3号(扶養) → 多くは障害基礎年金の対象が中心
- 共済加入 → 共済組合側の手続き
≪もっと知りたい!!≫
ここがズレると、
「窓口も違う」「必要書類も違う」「結果として受給額の設計も変わる」
ということが起こります。
理由2:保険料の納付要件をチェックする“基準日”になる
障害年金は「保険」なので、保険料の条件(納付要件)があります。
この条件をチェックする基準日が、初診日です。
よくある勘違いが、
「最近ちゃんと払ってるから大丈夫」
「今から未納を払えばいけるはず」
「払ってなかった時期があるからもうダメかも」
というものですが、納付要件は基本的に 初診日を基準に判定されます。
つまり、初診日がいつかで「判定結果」が変わることがあります。
納付要件は大きく2ルート(どちらか満たせばOK)です。
- 【原則】加入期間のうち 3分の2以上 が納付(または免除)
- 【特例】初診日の前々月までの 直近1年に未納がない
この判定をするためにも、初診日が必要になります。
理由3:手続き全体の「スタートライン」が決まる
障害年金は原則として、
初診日から1年6か月後(障害認定日) を基準に請求の流れが組まれます。
初診日が分からないと、そもそも
- いつの診断書(どの時点)を意識すべきか
- どの制度(基礎/厚生)で進めるか
- 書類の整合性(時系列)をどう設計するか
が決まりません。
逆に言えば、初診日が見えると、やることが一気に“順番化”します。
≪次の一手!!≫
申立書・診断書まで作り込む
初診日が分からない・転院が多い・昔すぎる人へ
・〔初診日が分からない〕
※「受診状況等証明書の読み方(経過欄チェック)」まで解説しています。
最初にやること:初診日メモ(ここだけでOK)
「正確な日付」まで思い出せなくても大丈夫です。
まずは窓口で話が進むレベルの“ざっくり”でOK。
スマホのメモに、これだけ書いてください。
初診日メモ(テンプレ)
- いちばん最初に受診した医療機関名:____
- 時期(○年○月ごろ/季節でもOK):____
- その頃の働き方:会社員/扶養/自営/無職/学生
- 転院の順番(分かる範囲で):
1)____(__年__月ごろ)
2)____(__年__月ごろ)
3)____(__年__月ごろ)
このメモがあるだけで、「窓口で一般論だけ聞いて終わる」確率が下がります。
≪次の一手!!≫
よくある落とし穴(ここだけ注意)
- 「今の病院の初診日=初診日」だと思い込む
- 受診状況等証明書で 初診日欄だけ見て安心する
→ 経過欄に“他院受診歴”が書かれていることがある
この落とし穴を回避する具体策は、別記事で詳しく説明しています。
・〔初診日が分からない〕(探し方手順+証明書の経過欄チェック)
≪次に読む!!≫
あなたの状況に合わせて、次はここへ進むのが最短です。
- 初診日がだいたい分かる → 〔愛知県版:窓口の分岐・予約・準備(入口)〕
- 春日井市の方 → 〔春日井市版〕
- 名古屋市の方 → 〔名古屋市版〕
- 初診日が分からない/転院が多い → 〔初診日が分からない〕
- 申立書・診断書まで作り込みたい → 〔障害年金申請・完全ガイド〕
まとめ
初診日は、
1)もらえる制度(基礎/厚生)
2)納付要件の判定
3)手続き全体のスタートライン
を決める“分岐点”です。
まずは完璧を目指さず、初診日メモを作る。
そして、必要なら「受診状況等証明書で遡る」手順へ進む。
この順番が、一番手戻りが少なくなります。

愛知県(名古屋・春日井等)を拠点に、岐阜・三重を含む地域で障害年金の請求をお手伝いしている社会保険労務士の渡邊智宏です。自身がそううつ病を経験したことから、病気による生きづらさや不安にも自然と目が向きます。その経験を活かし、一人ひとりの事情に耳を傾けながら、障害年金の手続きをサポートしています。初回の出張相談は無料ですので、「よくわからない」「不安がある」という方も、どうぞ気軽にご相談ください。
【体験談】うつ病で働けず、絶望していた私を救った「障害年金」というお守り
「もう、何もしたくない…」
「家族に迷惑ばかりかけて、自分が情けない…」
うつ病や双極性障害などの精神疾患で苦しんでいると、こんな風に自分を責めてしまうことはありませんか?先の見えない不安、消えない焦り。働きたくても働けない体。私も、全く同じでした。
こんにちは。私は双極性障害(躁うつ病)と共に生き、現在は障害年金を専門とする社会保険労務士として活動している者です。
実は、私自身も障害年金に救われた一人です。収入ゼロで引きこもり、家族に頼るしかなく「自分には価値がない」とさえ思っていた日々。そんな私の人生を立て直すきっかけをくれたのが、「障害年金」でした。
この記事は、同じ苦しみを知る”当事者”として、あなたにお伝えしたいメッセージです。障害年金は、単なるお金ではありません。あなたの心を守り、人生を再スタートするための「お守り」になる制度だということを、どうか知ってください。

障害年金って、そもそも何?【知ることから始めよう】
「障害年金って聞いたことはあるけど、よくわからない…」
そうですよね。まずは基本的なことから、簡単にお話しします。
障害年金には、大きく分けて2種類あります。
- 障害基礎年金:初診日(病気で初めて病院に行った日)に、国民年金に加入していた方(自営業、フリーター、主婦、20歳前の学生など)が対象。
- 障害厚生年金:初診日に、厚生年金に加入していた方(会社員、公務員など)が対象。
どちらに該当するかは「初めて病院に行った日に、どんな働き方をしていたか」で決まります。一般的に、障害厚生年金の方が保障は手厚く、1級・2級に加えて、比較的軽度な「3級」まで対象となるのが特徴です。
誰も「もらえますよ」とは教えてくれない現実
ここで一番大切なポイントをお伝えします。それは、障害年金は「自分で気づいて、自分で動かないと受け取れない」ということです。
病院の先生が親切に教えてくれることもありますが、制度に詳しくない先生も多いのが実情です。市役所や年金事務所から「あなた、対象かもしれませんよ」なんて手紙が来ることも、まずありません。
私もそうでした。制度を知らず、病気になってから5年以上も手続きが遅れてしまいました。だからこそ、今この記事を読んでくださっているあなたには、「知らなかった」で損をしてほしくないのです。
「自分のお金」がある安心感。私が障害年金に救われた経験
私が双極性障害と診断されてから数年間、全く働くことができず、実家で引きこもる日々が続きました。収入はもちろんゼロ。情けないことに、いい大人が親からお小遣いをもらって、なんとか生活していました。
友達とご飯に行くなんて夢のまた夢。コンビニでジュース1本買うことすら、ためらってしまう。そんな毎日が、どれほど惨めで、窮屈だったか…。
そんな時、ようやく手続きした障害年金がもらえることになりました。
口座に振り込まれたのは、月々約5万円。決して、それだけで自立できる金額ではありません。でも、「自分の口座に、自分の名義で、毎月決まったお金が入ってくる」という事実が、どれほど私の心を救ってくれたか、言葉にできません。
それは、「社会から見捨てられていない」「自分にもまだ価値があるのかもしれない」という、小さな自信を取り戻すための、何よりの支えでした。
経済的な安心が、心の余裕につながる【うつ病の治療に専念するために】
うつ病や精神疾患の治療で最も大切なのは、「安心して休むこと」です。しかし、収入がなければ「早く働かなきゃ」という焦りが生まれ、心が休まる暇もありません。
- 家族に頼る生活で、肩身が狭い
- 「申し訳ない」という罪悪感が日に日に大きくなる
- お金がないから、何もできず、どんどん孤立していく
この悪循環は、病状をさらに悪化させます。私も「自分なんて、生きていていいんだろうか」と、暗い気持ちに飲み込まれそうになったことが何度もあります。
障害年金は、この負のループを断ち切るための、強力な武器になります。
毎月少しでも安定した収入があることで、「すぐに無理して働かなくても大丈夫」という心の余裕が生まれます。その余裕こそが、治療に専念し、回復への道を歩むための土台になるのです。
焦りを手放し、未来の選択肢を広げる
病状が不安定な中で焦って仕事を探し、無理をして働き、すぐに再発してしまう…。これは、精神疾患を持つ方が陥りがちな、本当につらいパターンです。
私も障害年金がなければ、きっと同じ道をたどっていたでしょう。
しかし、障害年金というセーフティーネットがあったおかげで、私は「自分に合った働き方とは何だろう?」と、じっくり考える時間を持つことができました。
「サラリーマンに戻るのは難しいかもしれない。でも、自分のペースで働ける自営業なら…」
そうしてたどり着いたのが、「社会保険労務士」という道でした。1年以上の勉強が必要な難しい試験でしたが、障害年金があったからこそ、焦らずに勉強に集中し、合格を掴み取ることができたのです。
障害年金は、「今すぐ働かなければ」というプレッシャーからあなたを解放し、未来の可能性を広げてくれる制度でもあるのです。
【まとめ】障害年金は、人生を立て直すための「お守り」です
この記事で、私が一番伝えたかったこと。それは、障害年金がただのお金ではなく、「経済的な安心」「精神的な安定」「未来の選択肢」という、人生を立て直すために不可欠なものを与えてくれる、希望の制度だということです。
もしあなたが今、うつ病や精神疾患で苦しみ、お金の不安を抱えているなら、まずは「障害年金」という選択肢があることを知ってください。
「自分ももらえるのかな?」
「どうやって調べたらいいんだろう?」
そう思ったら、まずはスマホで「障害年金 精神疾患」「障害年金 うつ病」と検索してみてください。もし手続きが難しければ、私のような専門の社労士に相談するのも一つの手です。
「知らなかった」ではなく、「知っていたから、行動できた」。
この記事が、あなたの人生を少しでも前に進める、小さなきっかけになれたら、これほど嬉しいことはありません。
あなたは、一人ではないのです。

愛知県(名古屋・春日井等)を拠点に、岐阜・三重を含む地域で障害年金の請求をお手伝いしている社会保険労務士の渡邊智宏です。自身がそううつ病を経験したことから、病気による生きづらさや不安にも自然と目が向きます。その経験を活かし、一人ひとりの事情に耳を傾けながら、障害年金の手続きをサポートしています。初回の出張相談は無料ですので、「よくわからない」「不安がある」という方も、どうぞ気軽にご相談ください。
障害年金の更新手続きの不透明さに思う事
国会で障害年金の事が議論されていました
2020年5月19日に、参議院の厚生労働委員会が行われましたが、その中で障害年金についても議題に上がったようです。
具体的には、公明党の山本香苗議員がご質問されたものです。その中に、いくつか興味深い質疑がありましたが、そのうちの1つを取り上げてみたいと思います。
障害年金の更新の時期についての質疑
それは、障害年金の更新手続きに関する事です。
障害年金では、先天性で病気も治る見込みがない場合でも、数年に一度更新手続きを行わなければならないケースがあります。更新の際には、新たに診断書を記載してもらわなければならないので、障害者本人にとって経済的にも心理的にも負担が大きいものとなっています。又、その更新の期間も1年から5年と様々で、なぜその年数なのかという具体的な基準も示されていません。
こうした事情にある中、更新期間の基準を示したり、ずっと等級が変わっていないような方の場合は更新期間を延ばすなどの改善をすべきではないですか、という質問趣旨でした。
これに対して、厚生労働省側からは、2020年秋頃に向けて、更新期間の設定方法などの改善に向けた検討を行っていく、という回答がありました。
年金更新という心理負担
この問題は、障害者本人にとっては切実な問題です。一度年金の受給が決まる事で経済的な安定が得られるのですが、その安定は最短だと1年しか続かないという事を意味しているからです。
多くの場合、就労が困難になっていて、収入を障害年金に頼らざるを得なくなっています。その状況で、数年後にもう一度診査され、場合によっては等級が下がってしまったり、支給が停止されてしまうという不安がつきまとうという事はかなり大きな心理的負担となります。
今まで療養を続けていた人が、ある日突然、さあ働け、と言われても、そもそも就職先がすぐに見つかる訳もありません。
これは、究極的に言えば、突然、人生が詰む、という不安を抱えながら数年間を過ごす、という事を意味しているのです。
裁判にもなっているように、更新手続きの結果、同じ程度の診断内容なのに等級が下げられた、というケースもあります。又、精神疾患の場合、目に見える基準が全くないので、診断書を書いてもらう時の医師の捉え方1つで、すっかり違った結果が出てしまうという怯えは強いでしょう。
更新の期間は妥当なの?
実際、障害年金の更新についての不安のお問い合わせは沢山あります。更新期間を設けなければならないという事情は理解しますが、短い場合には1年の更新という事になると、これは首をかしげざるを得ません。
普段、あまり考えないと思うのですが、そもそも障害者とはどういう人の事を言うのでしょうか。単に一時的に心身の機能に問題がある人、という訳ではありません。障害者基本法の定義によれば、
「障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるもの」
となっています。
大事なのは、「継続的に」という文言です。
つまり、長期に渡って日常・社会生活に制限を受ける人の事を障害者と呼ぶ訳ですから、そもそも言葉の定義として、障害状態が相当に長く続く事が前提となっている訳です。どれくらいが長期なのか、というのは人それぞれで感じ方は違うとは思いますが、1年というのはちょっと短すぎるのではないかと感じます。
「障害」と認められるのには1年6ヶ月かかるのに?
そもそも、障害年金という制度においては、障害者と認定されるのには、原則として1年6ヶ月経過している事が必要とされます。
例えば、骨折して一時的に動けないからといって、それを「障害」という事はおかしいと感じると思います。ある程度長期に渡って不便が続くから、病気・怪我というくくりから、障害とというくくりに変わっていく訳ですから、認定まで1年6ヶ月を要するというこの規程にはそれなりに納得感があります。
しかし、障害と認めるのには1年6ヶ月の観察期間を要するという法律の建て付けになっているのに、その後はそれよりももっと短い1年毎に見直す事もある、というのはちょっとおかしいのではないでしょうか。
もっと長い目で見て
私は、少なくとも3年とか5年くらいのスパンで見るのが良いのではないかと思います。
仮に1年とか2年で症状が改善してきたとしても、それですぐに働けるようになる訳ではありません。まず就職先を探さなければならない、という事もありますが、長年患っていた人は身体的にも社会的にも体力が落ちています。いきなり元通りに働けるようになるのは希なケースではないでしょうか。
うつ病などの精神疾患の方が職場に復帰する時は、いきなり元通りに働くのではなく、リハビリ出勤という期間を挟むようにしている会社が多くなりました。まずは、家を出て会社に行ってみる。行っただけで何もせずに帰ってきて、通勤ができるかどうかの訓練をします。その次のステップで会社の中に入ってみて、同僚と顔を合わせる。それから短時間勤務をして、徐々に時間を長くして、ようやく元通りに働けるようになるという段階を踏んでいくのです。
このステップも必ずしも順調にいくとは限らない訳で、何度も再チャレンジする事もありでしょう。そう考えると、短期間で症状を細かく調べ、ちょっとでも良くなったらすぐ支給打切、というのは少し人間性に欠ける制度なのではないかと思ってしまいます。
更新期間については文句の1つも言えない制度設計
ちなみに、障害年金という制度には、自分の思っていた結果と違った場合には、審査請求と言って、不服申立をする制度があります。
しかし、今回取り上げている更新期間については、不服申立できる事項から外されています。従って、一度年金機構から言い渡された更新年数については、一切変更する手段がないのです。更新期間についての基準も示されず、それについて異議申立もできないというのもおかしなものです。
年金というものは、自分が長い間支払ってきた保険料を元にして受け取るものです。国から助けてもらうという性格のものとは全く異なっています。にも関わらず、短期間の間に病状を報告させ、隙あらば等級を下げようという姿勢が垣間見られる現状には寂しさすら感じられます。
秋までには何らかの検討を行うとの事ですので、是非注目して行きたいと思います。
今後の議論に期待してます
今回、この件を知り、あまり世間には知られていない所でも、こうして厚生労働省と議論してくれている人がいるというのはありがたいと思いました。個人的には、れいわ新選組で選ばれた方達に期待しています。
私は、特に公明党やれいわ新選組を支持しているという訳ではありませんが、こういう問題は党派を超えて、より良い制度にしていってほしいと切に願います。
※ 今回の参議院厚生労働委員会の様子は、参議院のホームページで動画で見る事ができます。
https://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/detail.php?sid=5797
動画自体は長いのですが、下の方にある「発言者一覧」の中の、「山本香苗」というリンクを押すと、山本議員の質疑から見る事ができます。

愛知県(名古屋・春日井等)を拠点に、岐阜・三重を含む地域で障害年金の請求をお手伝いしている社会保険労務士の渡邊智宏です。自身がそううつ病を経験したことから、病気による生きづらさや不安にも自然と目が向きます。その経験を活かし、一人ひとりの事情に耳を傾けながら、障害年金の手続きをサポートしています。初回の出張相談は無料ですので、「よくわからない」「不安がある」という方も、どうぞ気軽にご相談ください。
【コロナ対策】今すぐ利用できる公的”経済支援”
新型コロナウイルスへの経済対策は?
新型コロナウイルスが猛威を振るい、正常な社会生活を送ることが難しい状況になってきました。外出の自粛などによって経済活動が大幅に縮小していっています。
こうした危機にあっても、日本国政府は速やかな対応をしているとは言えない状態です。経済対策はこれから考えて、補正予算を通します、と言っているのですから、実際に対策が動き出すのは5月以降になるのではないでしょうか。
いつ、何を実施するのかが不明瞭な中、アルバイトや派遣社員、自営業者など、仕事が減った分、ダイレクトに収入に影響してくる人はどうすれば良いのか途方に暮れている事と思います。
コロナウイルス対策の緊急貸付制度
そんな中で、現在、すぐに対応してもらえる対策として、生活福祉資金貸付制度というものがあるそうです。
私の専門分野ではなく、急遽、厚生労働省のHPなどで集めてきた情報です。正確性には自信がないのですが、速報性が高いと思いましたので、急ぎアップする事としました。詳しい問い合わせ先は、社会福祉協議会となります。正確な内容や具体的なご相談は、社会福祉協議会までお願い致します。
今回、ご紹介するのは、社会福祉協議会が実施している「生活に困っている人向け」の融資です。元々あった制度ですが、今般のコロナウイルスによって生活に影響が出てしまった場合に柔軟に対応する事となったものです。
新型コロナ対策担当大臣の西村やすとし大臣のツイッターでも次のように紹介されております。
まずは緊急小口資金20万円、その後月20万円(2人以上の世帯:1人なら15万円)×3ヶ月。これで何とかしのいでもらえればと。市町村の社会福祉協議会が窓口です。返済免除できるものです。さらに補正予算で支給金、具体的制度設計を急ぎます。 https://t.co/bisqXdNol3
— 西村やすとし NISHIMURA Yasutoshi (@nishy03) March 29, 2020
新型コロナで収入が減ってしまった方や失業状態になってしまった方に特別措置をするという制度です。
具体的な内容
制度としては2段階になっています。
緊急小口資金
まず、緊急小口資金として、最大20万円の貸し付けを受けられます。失業や休業した場合だけでなく、コロナウイルスの影響で収入が減少してしまった場合でも対象となります。又、個人事業主として登録していない、いわゆるフリーランスの方も対象となるようです。
保証人などは不要で、無利子での貸付です。返済は返済猶予期間が1年あり、その後2年以内に返済する事となっております。しかし、返済時も生活が苦しい状態であれば、返済を免除する事もあります。免除の規程については、まだ詳細が決まっていないようですが、厚生労働省のHPによれば、「なお所得の減少が続く住民税非課税世帯の償還(返済)を免除することができる」とあります。住民税が課されない程度に所得が低い状態が続けば免除されるというように読めます。
総合支援資金
この緊急小口資金の貸し付けを受けた後も、まだ生活を立て直せない場合、総合支援資金という制度があります。こちらは、3ヶ月間、貸付を受けることができます。金額は、世帯2人以上の場合は最大20万円/月、単身世帯の場合は最大15万円/月となっています。こちらは返済期限が10年以内となっています。又、緊急小口資金と同様に、無利子であり、保証人も不要となっています。返済時に生活困難であれば、返済免除の可能性もあります。
相談窓口
相談先は、各市区町村にあります社会福祉協議会となります。
愛知県の社会福祉協議会のHPはこちらになります。
http://www.aichi-fukushi.or.jp/news/corona_koguchishikintokurei.html
返済について、厚生労働省のHPでは、先にも述べましたとおり住民税非課税世帯であれば免除される旨の記載があります。しかし、愛知県の社会福祉協議会のHPでは、「※注意:本資金は貸付金であり、償還(返済)していただく必要があります。」とわざわざ注意を強調しております。この様に、まだ制度の拡充についての周知が行き届いていない可能性もあります。できるだけ事前に厚生労働省のHPなどで情報を収集しておいた方が良いかも知れません。
最後に
公的機関なので、診査などに時間がかかり、消費者金融のように、即日融資、という訳にはいかないと思われます。又、窓口にも、これまでよりも多くの人が駆けつける事もあるかもしれません。
金銭的に不安のある方は早めにご相談する事をお勧め致します。
参考までに、厚生労働省で公表されているパンフレットのリンクを貼っておきます。
https://www.mhlw.go.jp/content/000613522.pdf
こういう事態になってしまい、政府の対応も後手に回ってしまっている状況です。今使える制度を積極的に利用して、何とかこの難局を乗り越えていきましょう。

愛知県(名古屋・春日井等)を拠点に、岐阜・三重を含む地域で障害年金の請求をお手伝いしている社会保険労務士の渡邊智宏です。自身がそううつ病を経験したことから、病気による生きづらさや不安にも自然と目が向きます。その経験を活かし、一人ひとりの事情に耳を傾けながら、障害年金の手続きをサポートしています。初回の出張相談は無料ですので、「よくわからない」「不安がある」という方も、どうぞ気軽にご相談ください。

