年金もらえる歳まで、希望すれば例外なく雇用継続しなければならなくなる?

高齢化社会というものが着々と進行しているようでありまして。

とうとう来るべき次の時代が幕を開けそうな様子なのであります。

 

 

■高年齢者雇用安定法による高年齢者雇用確保措置の選別基準撤廃へ

希望者全員、65歳まで雇用へ 継続の選別基準撤廃 – 47NEWS(よんななニュース)

 厚生労働省は12日、高年齢者雇用安定法を改正し、労使合意の上で65歳までの継続雇用者を選別できる「基準制度」を撤廃する方針を固めた。年金の受給開始年齢が段階的に65歳まで引き上げられることを受け、希望者全員が例外なく、受給開始まで仕事を続けられるようにする考え。

厚生労働省のページはこちら
職業安定分科会雇用対策基本問題部会審議会資料|厚生労働省

これまでは定年延長も、事業主側で客観的な基準を設けておく事で、全員を延長する必要はなかったのでありますが、これからは、どうやら希望したら全員を延長しなければならなくなるようです。

大きな会社は何とかなるにせよ、中小企業にとってはかなり痛いのではないでしょうか。

 

■世代間ギャップの問題と賃金体系

現状でもノンワーキング・リッチと呼ばれる高給を食む中高年者と、ワーキング・プアな若年層との世代間格差が言われており、その問題の一つに、上のポストが空かないからいつまでも若者は下層に甘んじている、というものがあります。

必ずしもそれだけが原因とは思いませんが、実際、いびつな人口構成が続く今後を考えると、大きな問題ではあります。もう定年でいなくなる、と想定していた人達が、やっぱり残ります、となると、当然新規採用は抑制されてしまう訳ですから、失業率にも影響してくるでしょう。

 

また、実際に提供している労働の価値と報酬との乖離の意味も大きくなるように思います。若年時に貯蓄をして、高齢時にその貯金をおろすというサラリーマンの収入構造を本格的に変革しなければ、日本の雇用制度が大変な事になってしまうように思えてなりません。

また、年功序列が崩れたとは言いながら、やはり年齢の高い方はそれなりの地位にあるもので、日本人の文化的にも、仮に地位が低くとも、年長者を無下に扱う事も難しいということもあり、結局、稼働能力そのものに見あっていないポジションをもらっている人が相当数いるのではないかという懸念がより大きくなります。

 

■その事はひいては日本の経済力に影を落とす

この事は、単に世代間格差の問題だけにとどまらず、日本の生産力の低下に直結している問題なのだと思っています。中国に抜かれたとはいえ、日本はまだまだ経済大国、などというのはお為ごかし。すでに一人当たりの生産性は先進国の中では最低レベルにあります。働きバチと呼ばれ、現代でもサービス残業、無償の休日出勤、持ち帰り残業などのカウントされていない時間外労働が相当レベルで横行している中でのこの生産性の低さは絶望的とも思えます。中国をして人海戦術の国と嘲笑していたのも今は昔。現在では、低い生産性を多量の人口で補っているのは正に日本なのです。

 

今の日本の問題点のほとんど全てがこの低生産性にあるのではないかとすら思っています。歳を召した方は、それだけの経験と知識が蓄えられている事は間違いないと思います。ただ、実際に行動する力は残念ながら衰えるものです。であれば、高年齢時の賃金は、論功行賞的な事を一切排除して、持てる知識と経験に基づき、それを如何に現場に落とし込めるのか、という一点のみで評価されるようになるべきなのかも知れません。そして、その事は、一人高年齢者に当てはまる事ではなく、若年者にも当てはまる事です。

 

■いまこそ賃金制度

畢竟、日本人は個人の能力で勝負した賃金というものから逃げすぎているのではないでしょうか。労働の価値に見あった賃金制度。これこそが今の日本に求められている事なのだと思います。

 

 

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