障害年金セミナー受講記 初日編 内容充実のセミナーでお腹いっぱいに

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前回のブログの続きで、先週末に、東京へ障害年金のセミナーを受講しに行ったお話です。

久しぶりの新幹線にドキドキしていたら、肝心のセミナー会場到着が時間ギリギリで焦りながら到着したところまでお話ししました。今回は、その肝心要のセミナーの話です。

セミナーは、日本法令という出版社が主催しているもので、土曜日は丸一日、日曜日はお昼まででした。土曜日と日曜日で講師もテーマも若干異なっていて、どちらもとても参考になる、良いセミナーでした。

今回は、初日のセミナーについて。

■ちょっと面白い講義スタイルで理解促進

土曜日のセミナーには講師が2人つきました。2人で講師を勤められるというのはあまり見かけないスタイルです。

また、講義の進め方も少し変わっていました。ある程度のまとまりを話した後、必ず周りの席の人と解らない点を話し合う時間をとるという形式でした。いきなりスムーズに話すのも難しいという事で、講義の最初は同じ机に座っている人と自己紹介をして下さいという始まり方。

最初は少し戸惑いながら話していましたが、何度も繰り返すうちにすっかり打ち解ける事ができました。お互い知らないもの同士だったのが、一日が終わる頃にはすっかり仲良くなっていた事も素晴らしかったのですが、何よりも、たった今聴いた事について直ぐに話し合いをする事で、強く記憶に残るという点で優れたやり方だと思いました。

■具体例たっぷり、ためになる話しもたっぷり

内容については、精神障害に的を絞り、実際に障害年金を請求する手順や注意点を、本当にあった事例を元に解説するというものでした。

障害年金の請求という業務は経験がものをいう世界ですので、こうした実際の事例を知る事ができるだけでもありがたいのですが、さらに、経験豊かな実務家がどう考え、どう動いたか、また、どこにつまづき、どう解決したかというノウハウも開示され、一つ一つの話が全部とても勉強になりました。

■障害年金の肝は日常生活にあり 〜働いていても受給チャンスはある!

やはり、障害年金の世界では、労働ができるのか、という点と、日常生活が一人で送れるのか、という点が肝です。よく勘違いされている事として 、少しでも働いて収入を得ていたら障害年金はもらえない、というものがあります。確かに法律の中にも働けない事が要件として挙がっているので、勘違いしてしまいがちです。しかし、ここでいう「働ける」というのは、一般の健康な人と全く変わらず普通に働けるという事実を指しています。職場の人や家族の支えのもと、頑張って働いている人は、その支えがなければその生活を維持する事ができないかも知れません。そうであれば、それは「働ける」とは言えず、障害年金をもらえるかもしれないのです。講義の中でも、繰り返しその事に触れられており、収入がある事、仕事をしている事は必ずしも不利ではないのだ、むしろ、そうやって自立するために頑張れるようにサポートするのが障害年金の使命で、その請求に携わる者としても、できるだけ働けるようになってくれる事を望んでいる、との事でした。

まさにその通りですし、私たち社労士も、収入がある、仕事があると聞くと、難しいのではないかと思ってしまいがちです。しかし、そこはあくまでも現実の障害の状態をしっかり確認し、主張すべきところはしっかり堂々と主張すべきなのです。働いている事は隠しておいた方が良いのかも、などという事を考える必要もなく、正々堂々働いています、その上で障害があるから年金を下さい、と主張すれば良い。後は依頼を受けた社労士が、しっかりと日常生活上の不便をしっかり聴き取って、それを年金事務所に解りやすいように記述すれば良い。そこに代理人として請け負う社労士の意義があり、腕の見せ所なのだ、と。肝に銘じておくべき考え方でした。

■障害年金請求の勘所は医者を説得すること

もう一つ印象に残ったのは、医師との接し方についてでした。

障害年金を請求するに当たって避けて通れないのが医者との折衝です。当然お医者さんはその道のプロなのですが、残念な事に障害年金については全くの素人である事が多いのです。なまじ医療のプロフェッショナルであるが故に、なかなか我々の言う事

に耳をかしてくれません。

私たちも医療に関しては素人である事は自覚していますが、その代わり医師がかけるのとはケタ違いの時間を依頼人からの聞き取りに費やします。医師も当然、医療行為を続けている間、必要な聞き取りはしているはずです。しかし、障害年金に必要な情報は医学的な事に限られないのです。日常生活でどのような不便があるのかと言う事を、事細かくできる限り全て聞き出そうとすると、沢山の患者さんを看ているお医者さんでは時間が足りません。さらに、日常的な診療の中では病気や怪我を治すという観点からの会話が交わされます。しかし、障害年金で適切な等級を獲得しようとするならば、日常生活、職業生活で、とにかく苦労している点、不都合な点を細大漏らさずリストアップする必要があります。医療行為としての聴き取りとは本質的に違う内容を聴き取らなければならないのです。本来であれば、これを医師が行えれば良いのですが、医師にそれをできるだけの時間的な余裕があることは稀でしょう。そこで、社労士が代わりに日常的な問題点の洗い出しに協力し、医師にその内容を伝え、それに基づいて診断書を作成してもらうという流れができてきます。

■医者との話し合いは粘り強さがキモ 〜訂正ありきの姿勢で臨むべし

多くの場合、お医者さんとは初対面ですので、まだ信頼関係がありません。そうした中で、こちらの伝えたい事を全て完璧に伝える事は難しいでしょう。ニュアンスが違っていたり、こちらが強調したいポイントが伝わっていないと言う事もあるかも知れません。結果、出来上がった診断書が依頼人にとって満足行く内容ではないという場合があります。

この時に、引いてはいけない。違っている部分があれば、何度でも、粘り強く訂正をしてもらわなければならない。障害年金の裁定に当たって重視されるのは当然、客観的な証拠である医師の診断書です。本人、または我々の代理人が書く申立書は補足にすぎません。影響力としては、8割から9割が診断書なのです。その最も大切な診断書の作成に妥協はあり得ない。そういう覚悟が必要なのだ、という話しを聴きました。

具体的に、お医者さんとのやりとりで苦労した話などもありました。

話を聴いていると、やはり相当の手間をかけて医師と折衝し、苦労して説得しているのが解りました。そして、お医者さんに診断書を書いてもらっても、一発OKはまずないと思っていて、加筆・訂正依頼があるのが当たり前という気持ちでいた方が良いというアドバイスもありました。

但し、話し方には細心の注意を払いましょう

お医者さんにこちら側の意志を伝える事は大変重要です。しかし、お医者さんとは喧嘩してはいけません

なぜなら、患者さんはまだそのお医者さんとのおつきあいが続くのかもしれないですから。今後の診察に悪影響を与えてしまっては何のための代理人か解らなくなってしまいます。勿論、実際に診断書を書くお医者さんと対立しては書いてくれるものも書いてくれなくなる、という実際的な理由がある事も当然です。

こちらの意を通す事は勿論の事、それを対人関係を悪化させない事を前提に説得しなければならないと言う事です。とても難しい仕事なのだと思いますが、直接人のためになる事ができるという意味では、大変なやりがいのある仕事なのだと思います。実務能力が高い方であればご自身単独で請求可能な障害年金を、わざわざお金を払って代理人を使い請求をすると言う事がある程度一般化しています。それは、単に面倒を省くという意味だけではなく、専門家に任せる事によって、より意に沿った結果を導きやすいという事でもあります。

医者との折衝では、決して引かない、しかし、事後の患者との関係に最大限配慮しなければならない。こうした事当たり前の事ではありますが、障害年金請求という事務を仕事とする社労士として、忘れてはならない基本原則なのだと、改めて胸に刻み込みました。

■良いセミナーとはこの事だ!

この日のセミナーは、午後4時まででしたが、質問者が長蛇を作っていました。講義の合間に交わされるディスカッションによって、疑問点が掘り起こされたのかも知れません。私も休憩時間などを使って質問し、名刺の交換もさせて頂きました。

とても参考になるセミナーで、実務上の疑問点の解決などもありましたが、何よりも仕事に対するモチベーションを強烈に刺激してくれました。もう、何と言うか、セミナーが終わったあとは、「やったるでぇ」という気合のこもった精神状態になった事を覚えています。

良いセミナーで得られるのは知識だけではないのだと思います。横の人脈も得られます。そして何より「やる気」をもらえます。この日のセミナーは、正に「良いセミナー」でした。

さて、次回は2日目、日曜日のセミナーの内容と総括を書こうと思っています。お楽しみに。

 

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