障害年金の時効がなくなる!? 時効の起算点を変える名古屋高裁の判決

ちょっと驚きの裁判例が出ていたので、速報的にご紹介します。


名古屋高裁の障害年金の時効に関する判決です。


名古屋高裁平成24年4月20日判決

この運用によって,10年さかのぼって受給資格の認定を受けながら,5年分しか障害基礎年金を支給されなかった女性が,不支給であった分の支給を求めた訴訟の控訴審判決で,名古屋高裁は請求棄却だった一審判決を取消して,請求を認めました。



この判決の意味するところ 実質時効がなくなる?

過去に障害認定日がある障害年金を請求した場合で、今までは過去にさかのぼって支給されるのは5年まででした。それが、今回の判決ではくつがえり、障害が認定された時点までさかのぼって支給しろ、という事です。

名古屋高裁の理由は,上記のような年金は請求をしないと盛られない仕組みに着目して,認定されてから給付を受けられるので,その時点から時効が起算されるというものです。



年金の時効が始まる時期が、これまで障害があると認められる最初の時点とされていたのが、請求をした時点に変わるという事です。
これは事実上、時効がなくなるという事です。

高裁レベルの判決なので、何とも言えないのですが、これまでの障害年金実務をすっかり変えてしまう破壊力のデカイ内容です。


諸手を挙げて喜びたいが・・・ ますます認定が厳しくなる?

年金受給者側からすると、とても良い判決です。

が、年金制度全体で見たらどうなんだろうという懸念があります。


ただでさえ危機的な状況にある年金財政です。さらなる支払への対応は避けたいところでしょう。
現に、今障害年金界隈で話題となっている事として、障害年金の更新の時、それまでと全く同じ診断書であったのに障害等級が引き下げられたり、ひどい時には支給停止になってしまっていると言う事態があります

この対応は、法律や判決で不都合があるなら、運用でなんとかしよう、というように見えます。


過去5年にさかのぼるだけで、数百万円単位の一時金です。
これが10年、20年まで認められるという事になると一千万円単位の請求になってきます。

現状、支給を絞り始めている年金が、それに唯々諾々と従うとは思えません。


一番手っ取り早い対応は、障害年金の支給の基準を運用上高く設定してしまうという事です。

これまでは認められていた程度の障害でも、認められにくくなってしまう。そういう事になると、障害年金受給者全体で見た時、必ずしも得であるかどうかは解らない、そう思えてしまうのです。



いずれにせよ、まだ名古屋高裁の判決です。今後どのような展開をたどるのか注視したいと思います。

 

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