【障害年金の初診日】カルテがない?大丈夫。うつ病の初診日を証明する全手順を社労士が解説

「障害年金の請求には『初診日』が重要だと分かった。でも、具体的に何をすればいいの?」

前回の記事を読んで、そう思われた方も多いのではないでしょうか。頭では理解できても、体調が優れない中、次の一歩を踏み出すのは本当に大変なことですよね。

こんにちは。精神疾患の当事者でもある、障害年金専門の社会保険労務士、渡邊智宏です。

今回は、「初診日を証明するための具体的なアクション」について、徹底的に解説します。すんなり証明できるケースから、「カルテがない」と言われて絶望しそうなケースまで、あらゆるパターンを網羅しました。

この記事を読めば、あなたが今すぐ何をすべきか、そして万が一壁にぶつかった時にどうすればいいのかが、明確にわかります。一人で抱え込まず、一緒に解決の糸口を探していきましょう。

まずは王道!「受診状況等証明書」をもらおう

初診日の病院に見当がついたら、まず試すべき最も確実な方法があります。それが「受診状況等証明書(じゅしんじょうきょうとうしょうめいしょ)」という書類を病院に書いてもらうことです。

「なんだか難しそうな名前…」と身構える必要はありません。これはA4用紙1枚のシンプルな書類で、「いつ、どんな症状で来院しましたか」という内容を証明してもらうものです。所定の書式があり、日本年金機構のホームページでダウンロードできます。

https://www.nenkin.go.jp/shinsei/jukyu/shougai/shindansho/20140421-20.files/0000012239XWI83snsjt.pdf

▼アクションプラン

  1. 書類を入手する: 日本年金機構のホームページからダウンロードできます。
  2. 病院へ依頼する: 初診の病院の受付窓口で「障害年金の申請で使うので、受診状況等証明書を書いてください」と伝えればOKです。
  3. 待つ: 通常1~2週間ほどで作成してもらえます。

この書類が手に入れば、あなたの初診日は確定します。ようやく、障害年金申請の本当のスタートラインに立てたということです。

【注意!】こんな記載があったら要注意
書類の中に「以前、別の病院を受診」「〇〇病院からの紹介」といった記載があった場合、その「以前の病院」や「紹介元の病院」が本当の初診日と判断されます。その際は、そちらの病院で改めて証明書をもらい直す必要があります。

 

 

うつ病でよくある「初診日の勘違い」に注意!

精神疾患の初診日には、多くの方が陥る「勘違い」があります。

例えば、
「体調不良でA内科へ→原因がわからずBメンタルクリニックへ→初めて『うつ病』と診断」
この場合、なんとなく診断が出た「Bメンタルクリニック」が初診日だと思いがちですよね。

しかし、障害年金の世界では「A内科」が初診日になります。
なぜなら、初診日の定義は「その病気や症状について、初めて医療機関を受診した日」だからです。「診断名がついた日」ではないのです。

原因不明のめまい、不眠、動悸などで最初に内科などを受診した場合、そこがあなたの初診日になる可能性が高いことを覚えておいてください。

 

 

絶望しないで!「カルテがありません」と言われた時の3つの逆転手

「初診の病院に問い合わせたら、『カルテはもう破棄しました』と言われた…」

これは、本当によくあるケースです。法律上、カルテの保存義務は最終受診日から5年。それ以上経っていると、破棄されていても仕方ありません。頭が真っ白になりますよね。

でも、諦めるのはまだ早すぎます。ここからが専門家の腕の見せ所。カルテがなくても初診日を証明する、3つの逆転方法をお伝えします。

逆転手①:最強カード「紹介状の控え」を探せ!

もし、初診の病院から次の病院へ移る際に「紹介状」をもらっていたら、大チャンスです。

紹介状には「〇年〇月〇日に初診」といった経緯が書かれていることが多く、これ自体が初診日の強力な証拠になります。初診の病院にカルテがなくても、紹介先の病院にカルテと紹介状の控えが残っているケースは少なくありません。まずは紹介先の病院に問い合わせてみましょう。

逆転手②:合わせ技で勝負!「第三者証明+客観的な証拠」

紹介状もなかった場合、友人や元同僚など「第三者」(家族は不可)に、「この頃、確かに通院していました」という証明書を書いてもらう方法があります。

ただし、これだけでは証拠として弱いため、

  • 日付入りの診察券
  • お薬手帳
  • 医療費の領収書
  • 生命保険の告知書

など、通院の事実を示す客観的な証拠をセットで提出する必要があります。ハードルは上がりますが、諦めずに探してみましょう。
(※初診日が20歳前の場合は、第三者証明だけでも認められやすいという特例があります)

逆転手③:最後の奥の手「保険料納付による申し立て」

あらゆる証拠が見つからなくても、まだ道はあります。これはかなり専門的な方法ですが、

「初診日があったはずの期間、年金保険料を真面目に納めていたのだから、初診日不明という理由だけで不支給にするのはおかしい」

というロジックで申し立てる、いわば「誠実な納付者を救うための最終手段」です。

具体的には、「20歳から、カルテが残っている一番古い病院の受診日まで」といった長期間の保険料納付状況を証明し、その期間ずっと保険料を納めていれば、初診日を認めてもらえる可能性があるという方法です。

ただし、この方法を使うと、たとえ会社員期間が長くても「障害基礎年金」の対象とされてしまう可能性がある、というデメリットもあります。それでも、「全くもらえない」よりは遥かに良い選択と言えるでしょう。

 

 

【まとめ】一人で抱え込まないで。専門家を頼るのも賢い選択です

今回は、初診日を証明する具体的な手続きについて、かなり専門的な内容まで踏み込んで解説しました。

「自分一人でやるのは、難しそうだ…」
「体調が悪いのに、こんなに動けない…」

そう感じた方も多いのではないでしょうか。当然です。そんな時のために、私たち社会保険労務士(社労士)という専門家がいることを、ぜひ心の片隅に置いておいてください。

社労士に依頼すれば、今回お話しした面倒な手続きのほとんどを代行できます。もちろん費用はかかりますが、多くの事務所では年金が受給できた場合に成功報酬を支払う形を取っており、初期費用を抑えられるケースがほとんどです。

大切なのは、「行動を起こすこと」です。

ぐるぐると一人で悩み続けている間に、5年のカルテ保存期間が過ぎてしまうかもしれません。

  • まずは、一番最初に行った病院を思い出してみる。
  • もし難しそうなら、専門家に相談してみる。(最初は家族や友人など)

どれも、あなたの未来を切り拓くための、価値ある一歩です。この記事が、あなたの背中を少しでも押すことができたなら、これほど嬉しいことはありません。

 

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